帰還兵

お勤めを終えて、
知り合いの兵士が無事帰還してきますと、
最寄りの駅まで出迎えたり、
戦地の様子はどうだったか
話を聞きに家まで行ったりしたようです。
そういった情報は、
役場でアルバイトをしていたり
父が役場勤めだったりしていますから
結構早くから知っていたでしょう。

でも、
いそいそ嬉しそうに出迎える兵の家族と裏腹に
峯子は
帰っていらっしゃるのがあなただったら・・・
と、つい軍人の妻らしからぬ思いを抱いてしまいます。
もちろん、
口には出さなかったでしょうが、
お手紙では、ポロリと本音を吐いてしまうのです。

しかし、
激戦が続くと、
白木の箱で帰ってくる方が多くなります。
役場でも、あまりびっくりしなくなりました、と
書いているほど。
峯子の胸は、心配でどんなにか痛んだことでしょう。
あなただけはご無事でいて欲しいと
たびたび神社参りに行っています。