日中戦争(昭和12年)前から太平洋戦争サイパン島に渡る前までの七年間にわたって交された数百通の大場榮と峯子の往復書簡。戦地と故郷とを行き来するラブレターから当時の様子を垣間見る。
栄のサイパン島での活躍は「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男」「タッポーチョ 敵ながら天晴 大場隊の勇戦512日」をご覧ください。
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こどもが1歳ごろになると、いろいろ言葉を覚えます。
===一部引用===
峯子13年3月ごろ
坊やはなんにでもチャンを付けます。
お腹が空けばマンマチャン、マンマチャンと言い、
お馬チャン、モーチャン(牛)、
ブーチャン(自動車)、ワンワンチャン等。
坊やがこんなにペーパーを汚してしまいました。
余り邪魔をして書けませんから、これで失礼いたします。
====
と、子どもの様子を書き綴り終わって、
出すばかりに封筒に入れた翌朝、
榮からの手紙が届いたのでしょう。
日付を書き終わった後の欄外に、
「あなたの血のにじむようなお手紙を拝見いたし、
呑気な事を書いた事を悔みます」と
書いています。
でも、きっと、
===一部引用===
峯子13年3月ごろ
坊やはなんにでもチャンを付けます。
お腹が空けばマンマチャン、マンマチャンと言い、
お馬チャン、モーチャン(牛)、
ブーチャン(自動車)、ワンワンチャン等。
坊やがこんなにペーパーを汚してしまいました。
余り邪魔をして書けませんから、これで失礼いたします。
====
と、子どもの様子を書き綴り終わって、
出すばかりに封筒に入れた翌朝、
榮からの手紙が届いたのでしょう。
日付を書き終わった後の欄外に、
「あなたの血のにじむようなお手紙を拝見いたし、
呑気な事を書いた事を悔みます」と
書いています。
でも、きっと、
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「大場栄と峯子の戦火のラブレター」本文には掲載されなかった話ですが、
峯子のお手紙には、女友達がよく出てきていました。
女学校からの友達で、
明るい性格だった人だと思うのですが、
子どもをすぐに亡くして、失意のどん底にいる頃
===一部引用===
峯子の手紙 17年冬
T子ちゃん(実子)の急逝去以来、
浮世をとてもはかなんでいらっしゃいます。
「毎日、仏様やお墓詣りばかりいたして、
淋しさを紛らしております」とございました。
親子の情として無理からぬ事と、お気の毒に存じます。
「牛田の家を出ようか」と心迷っていらっしゃいます。
縁あって結ばれた夫婦! 毎日一つ家に起居していて、
そんな淋しい心境になるなんて、
=====
夫婦一緒に暮らしていても、
幸せでない女友達の人生を横目で見ながら
峯子は、自分の幸せを感じとり
榮の人徳(周囲への配慮)で、
気ままに暮らせている境遇を感謝しています。
峯子のお手紙には、女友達がよく出てきていました。
女学校からの友達で、
明るい性格だった人だと思うのですが、
子どもをすぐに亡くして、失意のどん底にいる頃
===一部引用===
峯子の手紙 17年冬
T子ちゃん(実子)の急逝去以来、
浮世をとてもはかなんでいらっしゃいます。
「毎日、仏様やお墓詣りばかりいたして、
淋しさを紛らしております」とございました。
親子の情として無理からぬ事と、お気の毒に存じます。
「牛田の家を出ようか」と心迷っていらっしゃいます。
縁あって結ばれた夫婦! 毎日一つ家に起居していて、
そんな淋しい心境になるなんて、
=====
夫婦一緒に暮らしていても、
幸せでない女友達の人生を横目で見ながら
峯子は、自分の幸せを感じとり
榮の人徳(周囲への配慮)で、
気ままに暮らせている境遇を感謝しています。
峯子の子育てのエピソードには、
なかなか面白いものが沢山書かれています。
子どもの腕白ぶりや、
家族の愛情に包まれて成長していく描写は
とても微笑ましいものがあります。
中には、失敗もありますが。
子どもの欲しがるままに
アイスキャンデーを与えて熱が出たという
溺愛からの失態に
兄から叱られ慌てた様子や、
あなたに申し訳ないと詫びるエピソードも
母として成長していくステップとして
また貴重な体験だったでしょう。
栄は、何度も峯子に
甘やかせてはいけないと
注意しています。
なかなか面白いものが沢山書かれています。
子どもの腕白ぶりや、
家族の愛情に包まれて成長していく描写は
とても微笑ましいものがあります。
中には、失敗もありますが。
子どもの欲しがるままに
アイスキャンデーを与えて熱が出たという
溺愛からの失態に
兄から叱られ慌てた様子や、
あなたに申し訳ないと詫びるエピソードも
母として成長していくステップとして
また貴重な体験だったでしょう。
栄は、何度も峯子に
甘やかせてはいけないと
注意しています。
2月11日、映画「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」全国ロードショー
いよいよですね♪
さて、奇遇なことにこの2月11日は
栄と峯子たちの時代には、紀元節と言われておりました。
そして、また二人の大切な思い出の記念日、
手紙の中で何度も出てくるキーワード:蒲郡の海岸の日です。
蒲郡の海岸で、沖の白帆を数えたロマンチックから
もう×年だったね。
(どんなロマンチック??ワオ~)
という、ステキな日なのです。
無事に帰還なさいましたら
あの竹島海岸からやり直しましょう、
とも言われるスタートラインの日だったのですね。
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「手紙内容チョットだけよ」
いよいよですね♪
さて、奇遇なことにこの2月11日は
栄と峯子たちの時代には、紀元節と言われておりました。
そして、また二人の大切な思い出の記念日、
手紙の中で何度も出てくるキーワード:蒲郡の海岸の日です。
蒲郡の海岸で、沖の白帆を数えたロマンチックから
もう×年だったね。
(どんなロマンチック??ワオ~)
という、ステキな日なのです。
無事に帰還なさいましたら
あの竹島海岸からやり直しましょう、
とも言われるスタートラインの日だったのですね。
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「手紙内容チョットだけよ」
事実は小説よりドラマチック!!
って感じの
大場栄と峯子の「戦火のラブレター」です。
出会いからその後まで、
本当に、激動の時代に怒涛の人生を送られたんですね。
沁みじみ読み返していて思います。
手紙は、
栄が満州海城から南方サイパンに渡る直前まで
交わされるのですが、
「二人のその後」の章だけでも
小説になるぐらいですから。
・・・・と 自我絶賛ww(^0^)ww
って感じの
大場栄と峯子の「戦火のラブレター」です。
出会いからその後まで、
本当に、激動の時代に怒涛の人生を送られたんですね。
沁みじみ読み返していて思います。
手紙は、
栄が満州海城から南方サイパンに渡る直前まで
交わされるのですが、
「二人のその後」の章だけでも
小説になるぐらいですから。
・・・・と 自我絶賛ww(^0^)ww
喧嘩というか、栄の苛立ちというか
時々そんな怒りを峯子にぶつけます。
戦地で何よりうれしい峯子からの便りが届かないというのが
その理由です。
筆不精と詰られるには、あまりに可愛そうなくらい
峯子はマメにお手紙していると思うのですが、
「隣の将校には毎日のように手紙が届くのに、お前は・・・」と、ご立腹です。
多くは郵便事情の遅れによるものだったり、
隊が変更になったことで
転送の時間がかかったりしているようなのですけれど。
「軍人の嫁の資格は無い」「商家に嫁に行け!」
(子供が駄々をこねているように見えるのですがww ^^)
など、キツイお叱りに峯子は胸を痛めます。
17年の正月には
峯子:「これからは、心を入れ替えて、
5日に一度は手紙を書きますからお許しください」
と約束もするのですが、
忙しさにかまけてなかなかお約束も守れません。
ついには栄:「いくら言っても聞かないお前に、あきらめ」ています。
栄は、手紙が来ないとただ忙しいだけなのか、
病気ではないかと心配もして、事情を知らせよと言っています。
やっぱり、愛すればこそなのですね。
時々そんな怒りを峯子にぶつけます。
戦地で何よりうれしい峯子からの便りが届かないというのが
その理由です。
筆不精と詰られるには、あまりに可愛そうなくらい
峯子はマメにお手紙していると思うのですが、
「隣の将校には毎日のように手紙が届くのに、お前は・・・」と、ご立腹です。
多くは郵便事情の遅れによるものだったり、
隊が変更になったことで
転送の時間がかかったりしているようなのですけれど。
「軍人の嫁の資格は無い」「商家に嫁に行け!」
(子供が駄々をこねているように見えるのですがww ^^)
など、キツイお叱りに峯子は胸を痛めます。
17年の正月には
峯子:「これからは、心を入れ替えて、
5日に一度は手紙を書きますからお許しください」
と約束もするのですが、
忙しさにかまけてなかなかお約束も守れません。
ついには栄:「いくら言っても聞かないお前に、あきらめ」ています。
栄は、手紙が来ないとただ忙しいだけなのか、
病気ではないかと心配もして、事情を知らせよと言っています。
やっぱり、愛すればこそなのですね。
栄も峯子もカレンダー(日めくり)の残りが減っていくのを、
いつか会える日が近づくと、楽しみにしていました。
11月になれば(7月からあったです。後から発見)、
あと何日と赤で数字を入れて、手紙に同封しています。
でも、なかなかゴールインせず、また振り出しから数え直しの
失望も、何度も味わっています。
=== 一部引用 ===
栄 10222(14年末)
暦がもう残り僅かです。
昨年の今頃の便りに残り少々、
暦がまた新た初めから繰り返されると思うとーーー
というような文句の君の便りがあったように思いますが、
またその文句を繰り返す時が来ました。
また送って下さいね。
柱のカレンダーが一枚一枚減って行くのも楽しいものです。
栄 10266(16年秋)
もう後四十日。
これは君の便りを書いた正月迄の日数であるが、今日は七日。
残り僅かの二十三日である。
月日の経つのは誠に早く、
あれ以来すでに100日を過ぎているからね。
注:あれ以来というのは、栄が一時帰国した16年の夏の日
いつか会える日が近づくと、楽しみにしていました。
11月になれば(7月からあったです。後から発見)、
あと何日と赤で数字を入れて、手紙に同封しています。
でも、なかなかゴールインせず、また振り出しから数え直しの
失望も、何度も味わっています。
=== 一部引用 ===
栄 10222(14年末)
暦がもう残り僅かです。
昨年の今頃の便りに残り少々、
暦がまた新た初めから繰り返されると思うとーーー
というような文句の君の便りがあったように思いますが、
またその文句を繰り返す時が来ました。
また送って下さいね。
柱のカレンダーが一枚一枚減って行くのも楽しいものです。
栄 10266(16年秋)
もう後四十日。
これは君の便りを書いた正月迄の日数であるが、今日は七日。
残り僅かの二十三日である。
月日の経つのは誠に早く、
あれ以来すでに100日を過ぎているからね。
注:あれ以来というのは、栄が一時帰国した16年の夏の日
峯子も栄も、よく夢をみていました。
なかなか会えないけれど
毎晩のように夢で栄に会う峯子。
手紙には叱責や厳しい言葉も時にありますが、
夢で会うあなたは、いつもお優しい・・・・
と峯子は書いています。
恥ずかしい夢(恥ずかしいって何、ナニ、なに??)
も見ているんですが・・
「申し上げません」という峯子に、
栄は「どんな夢?言ってごらん」
と、知りたそうでしたよ。
なかなか会えないけれど
毎晩のように夢で栄に会う峯子。
手紙には叱責や厳しい言葉も時にありますが、
夢で会うあなたは、いつもお優しい・・・・
と峯子は書いています。
恥ずかしい夢(恥ずかしいって何、ナニ、なに??)
も見ているんですが・・
「申し上げません」という峯子に、
栄は「どんな夢?言ってごらん」
と、知りたそうでしたよ。
毎回のお便りは、春夏秋冬、季節の言葉から始まります。
なかなかに、その表現が通り一遍でなく、素敵です。
たとえば秋には===
草陰にすだく虫の音も、今宵は殊更に繁く、
秋も益々更けてまいりました。
とか
黄金色の海原もぼつぼつ刈り取られ始められて、
農家の多忙な時となりました。
あるいは、
今日もまた、すきとおるような青い大空!
晩秋にしては珍しい程、麗な日のみ続きます。
もう間もなく秋も行こうとしております。
あの日から三度、
木枯しの冬が訪れようとしております。
====
お手紙は、素敵に文学的です。
御系列に、芥川賞作家がみえるというのも
納得でききますことと存じます。
なかなかに、その表現が通り一遍でなく、素敵です。
たとえば秋には===
草陰にすだく虫の音も、今宵は殊更に繁く、
秋も益々更けてまいりました。
とか
黄金色の海原もぼつぼつ刈り取られ始められて、
農家の多忙な時となりました。
あるいは、
今日もまた、すきとおるような青い大空!
晩秋にしては珍しい程、麗な日のみ続きます。
もう間もなく秋も行こうとしております。
あの日から三度、
木枯しの冬が訪れようとしております。
====
お手紙は、素敵に文学的です。
御系列に、芥川賞作家がみえるというのも
納得でききますことと存じます。
栄は内地から来た手紙を
どうやって保管していたんでしょうね。
手紙はどんどん溜っていきます。
発見された時には
封筒から出した状態で、
便箋だけがぶ厚く綴じてありました。
持ち歩いていたのでしょうか。
お手紙の中からその様子の分かる部分が出てきました。
昭和14年の年末のころのものと思われます。
一部引用===
10222 栄
荷物が沢山あるので困ります。
一切家を持って帰るのですからね。
冬服、靴、その他で、将校行李が一ぱいでやり切れません。
峯子から来た手紙でも相当ありますからね。
過日表紙をつけて整理しましたら、
どうやって保管していたんでしょうね。
手紙はどんどん溜っていきます。
発見された時には
封筒から出した状態で、
便箋だけがぶ厚く綴じてありました。
持ち歩いていたのでしょうか。
お手紙の中からその様子の分かる部分が出てきました。
昭和14年の年末のころのものと思われます。
一部引用===
10222 栄
荷物が沢山あるので困ります。
一切家を持って帰るのですからね。
冬服、靴、その他で、将校行李が一ぱいでやり切れません。
峯子から来た手紙でも相当ありますからね。
過日表紙をつけて整理しましたら、
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HN:
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性別:
非公開
自己紹介:
2011年2月に出版。
引用文の無断コピーはご遠慮下さい。
「大場書簡を読み解く会」
senkanoloveletter@live.jp
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