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日中戦争(昭和12年)前から太平洋戦争サイパン島に渡る前までの七年間にわたって交された数百通の大場榮と峯子の往復書簡。戦地と故郷とを行き来するラブレターから当時の様子を垣間見る。 栄のサイパン島での活躍は「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男」「タッポーチョ 敵ながら天晴 大場隊の勇戦512日」をご覧ください。
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子育て中の峯子は、何度も
甘やかすなと栄に注意されています。
母親の溺愛から、アイスキャンデーを欲しがるままに与えて熱が出てしまったなどという失敗も経験しながらも、
丈夫に大きくなった一人息子が
可愛くて仕方ない様子を
毎回のように書いています。
親戚の子と比べても賢いとか、
幼稚園にも行かなないうちから
優等生にする自信があるとかww
蝉取りの腕前までも自慢しています。
すやすや眠る子どもの顔を見るのが
一番の楽しみとも。

二人揃って
子どもにかける愛情
優劣つけがたいですね。
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子どもの教育について、
栄は大変心配もし、峯子にたびたび指示しています。
一人っ子なので甘やかすな
言葉遣いは多少乱暴でも、利口な子に育てよ、
お前に任せると言いつつ
ボタンが取れてたままになっていた
服装の乱れもすかさずチェックするという
結構うるさい父親。
一人息子の成長ぶりを
逐一書いてよこせと
とても関心をもっていました。
遠くに離れて、自分が教育に関われないのが
残念でもあったのでしょう。
しかし、自らも認めていますが、
可愛くてたまらないと
随所に親馬鹿ぶりの見える
甘い父親像が浮かんできます。
峯子は料理はあまり得意じゃなかったかもしれません。
新婚の頃ですが、芯のある御飯の話だとか
(あなたの傍に居たくって、火が消えたのも分からずに
中途半端に炊けてしまったからだとかww)
後になってからも
お前のカレーライスは不出来だとか、言われていますから。
でも、
栄は、手紙の中で、帰ったら
まずくてもいい、家族揃って食事のできる
温かい家庭を作りたいと言っています。
戦地で、なにより家庭の温かさの大切さを感じていたのでしょう。

====
栄 10195(15年年末)

自分の考えとしては、
やはり親子揃って貧しくとも暮らすのが
本当の幸福であると思う。
出来得るなれば、なるべく早く土の生活に帰りたいと思う。
土の生活が一番いい。
軍の侵攻中、荷物は行李(こうり)に入れていたようですが、
その保管も結構大変だったようです。
軍服も夏冬の気温差はあるので両方いるし、
重くて困っている様子が記述されています。
中でも、興味を引くのが、
数百通にも及ぶ内地からの妻の手紙をどう保管していたのか?
とても気になります。
束にして紐綴じしていますが、

栄は、送ってもらった防弾チョッキは
重くて苦しくて着ないからと捨てても(ビックリ@0@!)
峯子からの手紙を大事に保管していました。
ですから、こうしてお伝えできるというものです。

・・・・命より大切なもの・・・・だったんですね。


====
栄 10195(15年年末)


一弘の写真もお前の写真も大切に保管している。
お前の便りも殆んど全部保管している。
本に綴じて大体二寸位の厚さになっている。
峯子は、妹の洋裁を手伝って
栄の妹たちのコートを仕立てたり
もう手には入りにくくなってしまった純毛の
毛糸で編み物などもしたようです。

出来上がったセーターは、
慰問品として戦地にまで届けられます。
しかし、11月末に出た峯子の荷は、
栄の所属部隊が変わったことも加わり
12月になっても届かず
早く送らないと春になると言われながら、
ようやく栄の手に渡ったのは、翌年の1月。
戦傷のため入院中のベッドで
手編みのセーターを着ることができるようになったのです。
栄の感謝の言葉が、なかなか良いです。

== 一部引用 ==
栄の手紙より 10073
君の真心のセーターが大変温かい。
峯子の温かさがセーターを通して体に感じる様な気がする


=====







慰問品に要求したのは、辛いせんべいで、
食べものの好みは辛党?でも
討伐から帰ってきたときには、シルコを飲んでいたりします。
両党?
お酒については、長い戦闘生活で好みが変わったよう?です。

=== 一部引用 ===
峯子 156
三、四本傾けないと、面白くなれないとのお便り拝見いたしましけれど、
軍のお疲れからおっしゃる事とは存じますが、
お別れいたしましてから、随分お強くおなりの事と不安に存じます。
 五号にお住いの頃は、飲むというより
「なめる」と言う言葉にふさわしい程でいらっしゃった方が・・・・・
そんなに召し上がって、御体に障りはしないかと案じられます。


=== 一部引用 ここまで ===
栄の手紙では、峯子にいろいろ要求を出しています。
峯子の髪形について言及している部分では、
栄は、艶やかなボタンの花より梅の花の美しさを愛でていた?

=== 栄の手紙より 一部引用 ===
栄 10063 
夏かけたパーマネントが消えて来たそうな。
もうよせ。パーマネントより、
やはり何とか名古屋で見た最初の髪の方がいい。
牡丹の美しさより梅の方がいい。
あでやかな美より静かな美を俺はよく好する。
その意味において、黒紋付はいいかも知れん。
顔からして、峯子は華でやかなものより落付いたものが似合う。 
戦地はあれこれ不自由ですから
家族からたびたび慰問品を送っています。

栄は、写真の他に何度も催促しているのは、
好物の「辛いせんべい」。
たまりせんべいでしょうか?
あられみたいなの?
蒲郡のお店で求められたと思いますが、
どこのおせんべい屋さんなのかなぁ。

でも、個包装では無かったでしょうから、
湿らないよう
缶に入れて送っていたみたいですね。
峯子の手紙に、
今回は適当な空き缶が手に入らないので
次に送ります
などと書いています。
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大場書簡を読み解く会
性別:
非公開
自己紹介:
2011年2月に出版。
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